しょーしきのしょーしつてん

消失点を探そうと思います

児童ポルノ法改正案と現行法を比較する

 法律のクソド素人が現行法と改正法案を比較してみるでござるの巻。そこまで間違った解釈はしてないとは思うのですが、もし「そうじゃねーよこの小児性愛者が!」という事案がありましたら教えてください。勉強させていただきます。
 改正案と改正前を並べていく形式で行きましょう。改正案は太字、改正後の差分に下線を引いてみました。
 
 改正法案はこちら。
 現行法はこちら。

 改正案
 ・第三条中「留意しなければならない」を「留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない」に改める。

 現行法
 第三条  この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

 改正後
 第三条  この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない

 解説
 従来の条文の「留意しなければならない」をより細かく、留意すべき点を挙げたようです。とはいえ児童の権利を擁護するための法律なんだからそりゃ当り前だろって話ではあるんですが。よくいえば留意点を明確化、悪くいえば規制の強化であるとも読めますが。

 
 改正案
 ・第六条の次に次の一条を加える。
 (児童ポルノ所持等の禁止)
第六条の二 何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管してはならない。

 現行法
 追加なのでなし

 改正後
 改正案と同じ

 解説
 いわゆる「単純所持規制」を盛り込むための条文です。目玉といってもいいでしょう。「視覚により認識することが~」とあるので、いわゆる「ロリボイス」は取り締まらないということになるのでしょうか。規制しろという声も少し前に聞いたんですけどね。変声期後の声で。

 改正案
 ・第七条の見出し中「児童ポルノ」の下に「所持、」を加え、同条第六項中「第四項」を「第五項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「第一項」を「第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

 現行法
 (児童ポルノ提供等)
 第七条  児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2  前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
3  前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
4  児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5  前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
6  第四項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

 改正後
(児童ポルノ所持提供等) 
 第七条
1  自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を資格により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者も、同様とする。  
  児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
 第五項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

 解説
 第一項に「自己の性的好奇心を満たす目的」という文言付きで単純所持の禁止を盛り込みました。よくいわれているような、ウィルスやメールでの取得のような、不作為での児童ポルノの取得を除外するのが目的でしょうか。最近改正された刑法175条でもキャッシュが残っている場合は所持としないとする論文を見たのでおそらく児童ポルノに関してもキャッシュに関してはお咎めなしでしょう。おそらく自分でハードディスク上に保存した場合のみだよ、ということでしょうか。とはいっても、エロ画像をzipでまとめてダウンロードした時に中に児童ポルノが紛れ込んでいたら取りしまれることには変わりないのではとは思いますが。
 個人的には、モノホンの児童ポルノを持ってる人が二次エロ画像を持っていることは多くてもその逆はそこまで多くないと思うので、二次エロ画像zipを落としたと思ったら欲しくもない児童ポルノが混ざっていて警察が来た、なんていう事態も起こる余地があるのでは? と思います。まあ偉い人から見たらインターネットでエロ画像zip落としてる奴なんて大差ない存在だという認識なのかもしれませんが。

 改正案
 第九条中「から前条まで」を「、第六条、第七条第二項から第七項まで及び前条」に改める。
 第十条中「第五項」を「第六項」に改める。
 第十一条中「から第七条」を「、第六条又は第七条第二項から第七項」に改める。
 第十二条第一項中「第八条まで」を「第六条まで、第七条及び第八条」に改める。
 第十三条中「第八条まで」を「第六条まで、第七条及び第八条」に、「容貌(ぼう)」を「容貌」に改める。

 
 現行法
 (児童の年齢の知情)
第九条  児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。
(国民の国外犯)
第十条  第四条から第六条まで、第七条第一項から第五項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三条 の例に従う。
(両罰規定)
第十一条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五条から第七条までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
(捜査及び公判における配慮等)
第十二条  第四条から第八条までの罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、児童の人権、特性等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとする。
(記事等の掲載等の禁止)
第十三条  第四条から第八条までの罪に係る事件に係る児童については、その氏名、年齢、職業、就学する学校の名称、住居、容貌等により当該児童が当該事件に係る者であることを推知することができるような記事若しくは写真又は放送番組を、新聞紙その他の出版物に掲載し、又は放送してはならない。
 改正後
 (児童の年齢の知情)
第九条  児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条、六条、第七条第二項から第七項までおよび前条の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。
(国民の国外犯)
第十条  第四条から第六条まで、第七条第一項から第六項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三条 の例に従う。
(両罰規定)
第十一条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五条、第六条又は第七条第二項から第七項までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
(捜査及び公判における配慮等)
第十二条  第四条から第六条まで、第七条及び第八条の罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、児童の人権、特性等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとする。
(記事等の掲載等の禁止)
第十三条  第四条から第六条、第七条及び第八条の罪に係る事件に係る児童については、その氏名、年齢、職業、就学する学校の名称、住居、容貌等により当該児童が当該事件に係る者であることを推知することができるような記事若しくは写真又は放送番組を、新聞紙その他の出版物に掲載し、又は放送してはならない。

 解説
 まとめて載せました。前条の部分で変更点があったため、参照する部分を対応させたようです。

 改正案
 第十四条第一項中「児童ポルノの」の下に「所持、」を加え、「かんがみ」を「鑑み」に改め、同条第二項中「児童ポルノの」の下に「所持、」を加え、同条の次に次の一条を加える。
 (インターネットの利用に係る事業者の努力)
第十四条の二 インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。)を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。

 

 現行法
 (教育、啓発及び調査研究)
第十四条  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。
 
 改正後
 (教育、啓発及び調査研究)
第十四条  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることに鑑み、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2  国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。
 (インターネットの利用に係る事業者の努力)
 第十四条の二 インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号に規定する電気通信役務をいう。)を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。
 
 解説
 条文に所持を盛り込み、新たに一条追加。端的にいえば「プロバイダ事業やってる会社は児童ポルノの取り締まりに協力してください」という内容ですね。児童ポルノがアップロードされた場合はそれを削除したり、児童ポルノに対してフィルタリングをしたり、アップロードした人を特定して警察に教えてください、みたいな感じです。
 児童ポルノのアップロード者の取り締まりは単純所持を規制しなくても可能なのでガンガン協力して挙げて欲しいのですが、児童ポルノに対するフィルタリングっていうのはどこまで可能なかなーとは思います(条文にそのように書いてあるわけではないので実際にやるのかは不明ですが)。一言で申し上げれば「分割された圧縮ファイルにフィルタリングは有効なのか」という話でして、画像や動画データはどうにかなるのかもしれませんけど、圧縮ファイルはどうなるのか私には分かりません。ついでにいうなら、児童ポルノの外部への拡散という意味では日本から出ていく物だけでなく海外から入ってくる物、つまり「海外発の児童ポルノ」というのも存在しているわけで、欧米だけでなく東南アジア、中国などはどうなっとるんじゃいという疑問もないわけではないです。法律には関係ない話ですが。

 

 改正案
 第十五条第一項中「関係行政機関」を「厚生労働省法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関」に改め、同条第二項中「関係行政機関は、前項」を「前項の関係行政機関は、同項」に改める。
 第十七条中「罪」を「規定」に改める。

 

 現行法
 (心身に有害な影響を受けた児童の保護)
 第十五条  関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2  関係行政機関は、前項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。

(国際協力の推進)
第十七条  国は、第四条から第八条までの罪に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。
 

 改正後
 (心身に有害な影響を受けた児童の保護)
 第十五条  厚生労働省法務省、都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2  前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。

(国際協力の推進)
第十七条  国は、第四条から第八条までの規定に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。

 解説
 条文を一部変更。現行法の第十六条
 (心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
第十六条  国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。
 がガンスルーされているのはどうなんだろうかという気もしますが、今後の被害を減らすことが目的なので仕方ないのでしょうか。それとも碌な支援や保護がないと分かると素人売春が減るのでしょうか……。

 残りは附則と他の法律との兼ね合いの部分なので省略しようと思ったのですが、気になる部分があるのでそこだけ紹介します。

  (検討)
第二条 政府は、漫画、アニメーション、コンピュータを利用して作成された映像、外見上児童の姿態であると認められる児童以外の者の姿態を描写した写真等であって児童ポルノに類するもの(次項において「児童ポルノに類する漫画等」という。)と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとともに、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置(次項において「インターネットによる閲覧の制限」という。)に関する技術の開発の促進について十分な配慮をするものとする。
2 児童ポルノに類する漫画等の規制及びインターネットによる閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、前項に規定する調査研究及び技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 いわゆる「準児童ポルノ」とか「子どもポルノ」とかいわれている物が児童に対するわいせつ行為にどれくらい関係あるのかを調べます、という話。うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん……。
 よくいわれている「わいせつな映像に触れるとわいせつ行為を働くようになる」「児童ポルノを観賞するとロリコンになる」という論理が正しいかどうかを調べますよ、ということなのでしょうか、じゃあ一体どんな調査をして、それを公開してくれるのかという話です。現行法上児童ポルノとして認められていないアニメ・漫画等の制作物を即座に児童ポルノとして禁止するのは無理があるし、規制するにしても実際に相関がなければ規制する意味がないので、まずは調査から、という趣旨なのでしょうが、すでにいった通り、調査の内容や経過を公開してくれなかったりしたらお話になりません。調査をすること自体はおかしくはないですけど。これもプロバイダが規制するとなれば、画像の肌色の割合とか幼さとか目の大きさとかで判断するんでしょうか。肌色の割合から画像を自動収集するようなプログラムを作ったら力士の画像ばっかり集まったなんていう笑い話もありましたが、そうならなければよいのですが…。

 それから、「児童ポルノに触れるとロリコンになる」という話ですが、なるならないはともかくとして「児童ポルノを閲覧させ続ければロリコンになる」というのは十分にあり得る話だと思います。つまり児童ポルノ=児童との性交の様子を繰り返し見せることにより、それが常識だと頭に刷りこむことができればそれでいいわけで、女子校や男子校では異性愛の常識が通用しなくなったりするのと同じ状況をつくれば人間なんて簡単に騙されるものです。
 つまり「小児性愛は認めないし法で禁じる」というのは人間を環境によって矯正するということをいっているわけで、その是非はともかく「健全な社会」を作り出すための一環であるということがいえるのではないでしょうか。

 ……とまああまりにいい加減ですがそんなところです。そのうちジュリストとかでもっと偉い法律の先生の論文が載るのではと思うので、もっと正確な法解釈や解説が見たい方はそちらをチェックしてみてはどうでしょうか。