しょーしきのしょーしつてん

消失点を探そうと思います

「初心者の荒らし」に対して考えること

 複数人で対戦するゲーム全般でいえることだが「初心者が場を荒らした性で負けた」という発言が出てくることがある。今回は麻雀とハトクラについて絞って書いてみようと思う。

 まずこの2つのゲームは「4人でやるゲームである」ということ。その中で勝つ人=1位を取る人は1人だけなので誰かが有利になるということは他の誰かが有利になるということでもある。その中でゲームの上級者たちは、誰かが圧倒的有利な状況にならないように気を配りながらゲームを組み立てるように意識しているように思う。より正確にいえば「誰かが有利にならないように気を配りながら、自分が優位に立てるような立ち回りをすることができる」というのが上級者であるともいえるだろう。
 そのために必要なことは麻雀とハトクラによって違うので、ここは2つに分けて考える。

・麻雀編
 麻雀において「誰かを有利にさせない立ち回り」というのは勿論「1人をダントツにさせない」ということだろう。麻雀はダントツトップの方が選択肢が増え、多少のミスをしても問題ない状態になるし、ゲームメイクも自由にできる。一例をあげれば、和了に向かわないブラフ気味の鳴きや捨て牌、安手への差し込み、相手の攻めへの絞りやオリ、逆に他家無視の攻め続行など、なんでもできるようになる。逆に周りの人間はトップを取りたければ高い手作りや親番での連荘などを狙わなければいけなくなり、次第に選択肢が減っていくことになる。高い手作りをしてもそれをアガって得点にすることができるかどうかは別だし、トビがあるルールだと迂闊にロン和了ができなくなることもあり得る。
 そういう状況を作らないようにするには、あからさまに高い手を和了らせれないようにする、不用意なカンをしてドラを増やさない、リーチ一発目を警戒する、押し引きの判断を正確にする、ベタオリの精度をあげる、数え上げを正確に行う、などが求められることになる。押し引きの判断というのは抽象的だが、要するに自分の手の高さと相手の手の高さを比較して、どの程度まで押していくか、それとも引くかを判断するということ。そしてその判断というのは流れとか勢いであるとかではなく、相手の手がどれくらいの高さなのか、ドラはあるのか、手役があるのかなどを河の捨て牌や自分の手と比較して行わなければならない。数え上げはそこで役に立つ。
 さて、所謂「初心者」というのは、この辺の理屈を理解していないことが多い人のことを指すといっていいだろう。この「初心者」は、あからさまなホンイツやドラポンに危険牌を切る、ベタオリせずに「なんとなく」で捨て牌を選択する、数え上げで待ちを絞らない(ので何が安牌なのかも分からない)、ノミ手で親リーに突っ込む、等々のプレイを行うことがある。こうした場合損をするのは、当の初心者だけではなく、アガれなかった他の二人も同様である。一人がダントツにならないよう気を配ったとしても、初心者の正しくない打牌によって自分の勝つ可能性が低くなるのだからたまったものではないだろう。無論4人でやるゲームなのだからそういうことも起こり得るのは当然なのだが、他人の明らかに適切でないプレイングで無関係の自分が負けるというのは、勝つためにやっている人間にとっては迷惑以外の何物でもない。
 もっとも、その「適切なプレイング」が状況によって異なる上に、勝つためにやっているんじゃない魅せるためにやってるんだみたいなプレイスタイルの問題もあるので、一概に1つの選択を取って非難することもできないわけだが。
 それでも適切不適切は確実に存在するし、麻雀に限っていえば各種のデータから押し引きの基準についても数字による「正解」が導き出されているので間違いかどうかは分かるし、運の要素が強いゲームでは勝った負けたの結果よりもどのように判断してどのように打ったかの過程の方がよっぽど大事だとは思う。

・ハトクラ編
 ハトクラは麻雀と比較しても、かなり運の要素が少ない上に、自分で運の要素をコントロールすることが可能なゲームであることは以前にも書いたとおりである。では、ハトクラにおける「誰かを有利にさせない立ち回り」とはどういうことか。ざっと思いつくのは「強カードを一人に独占させない」「レアカードを渡さない」「コンボパーツを集めさせない」「双子擁立のタイミング」といったところだろう。これらを達成するためには「ランダムマーケットを不用意に空けない」「コンボパーツをカットする」「2番手で双子を取る」などが挙げられるだろう。双子に関しては2番手でも十分強い場合があるのでなんとも言えないが、すくなくとも「マーケットを不用意に空けない」というのはこれだけで「強カードの独占」「レアカードの購入」「コンポパーツ集め」を全て達成することができるといってもいいし麻雀とも違ってマーケットを空けなければ確実に目的が達成されるのが重要だ。麻雀は如何にベタオリしても、裏ドラの載る確率の低い方を打っても、それでもなお狙い通りにはいかないことがある。
 ちなみに強カードを独占されるような条件というのは、鉱山都市を持っている人間がいるときにマーケットを空けて錬金術師を出す、といったような状態のことをいう。また、錬金術師が特に強いサプライである「海の見える街」などは、錬金の独占=勝ちのような状態になってしまう。そのため、マーケットを空けるときは慎重にならないといけないというのがランダムマーケットを不用意に空けないという戦略である。
「初心者」というのは、こういう判断をしない・できない人ということになるだろうが……ここまで来ると、結論は麻雀の時と同じなのだが、最初にいった通り、ハトクラは麻雀と比べても運の要素が少ないゲームである。よって、相手を勝たせないためにやる戦略には少なからず意味があるし、勝ちたければそういう戦略を取った方がいいということになる。少なくとも、勝つために必要なことをしていなければ負けるというのは当たり前の話で、それを指して人のプレイングを批判してはいけない、というのは間違ってるのではいわざるを得ないだろう。

 まとめると、
・ゲームによって「勝つためにやること」が存在している
・ゲームによっては、参加者が協力することも必要である
・勝つために取った戦略が例え失敗であったとしても、負けるための戦略を取るよりはマシだろう

 という感じ。まあ別に勝とうと思ってない人間には一切関係ない話ではありますがね。

 

 書いた後に思った補足