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しょーしきのしょーしつてん

消失点を探そうと思います

「娘の家出」は渾身の右ストレートのようだった

 志村貴子先生の新連載群の単行本娘の家出をよみました。印象を一言でいえばタイトルにある通り渾身の右ストレートのようなまっすぐぶっこんで来るタイプの作品でした。私は他の志村作品について、「敷居の住人」は鋭い剃刀、青い花は鈍く光る鉈、放浪息子は重いボディブローと勝手に分類しているのですが、娘の家出もそれに倣うなら右ストレート、という感じです。

 娘の家出というタイトルは、放浪息子敷居の住人よりももうちょっと指向性のあるようなイメージが沸きます。放浪息子敷居の住人はそのタイトル通り、今まさに放浪中であったり敷居の上に立っていたりなのですが、今回は「家出」ということで、ある地点や境遇、環境からの逃避の物語、のようでした(っていうか帯に逃避行って書いてある)。

 内容をなんのひねりもなく単純化してしまえば少女! 思春期!! 恋!!! セックス!!!! っていう感じで、出てくる少女たちのちょっと飛んでるっぷりもさることながら、出てくる男たちも負けず劣らずの駄目な連中ばっかりなのも見どころでしょうか。具体的には金田先生を十倍駄目にしたようなというか、どちらかといえば「なる日々」寄りの男子キャラクターが大目です。

 以上のことを踏まえてもう一度言いますが、かなり攻めの姿勢を感じる話です。おそらくこの対極というか、守りに寄っているのが「かわいい悪魔」だといってもいいかもしれません。大げさに言えば、耐性がない人が初めて読む志村貴子作品としては向いてない可能性すらあります。大人しくかわいい悪魔から入って欲しいと思います。
 
 まあとにかく高い打撃力を持ったいい漫画なのでお勧めですよん、と。ちなみに今日買いにいった書店だと新刊コーナーに置いてなくてYJCの棚を探す羽目になりました。信用ならねえ本屋だなおい。