しょーしきのしょーしつてん

消失点を探そうと思います

【日記】 青森旅行1日目その2「二年越しの飲み屋」

 駅の売店で煙草を買ったのち、再び八戸線に乗って八戸駅へ戻る。ロッカーに預けていた荷物を受け取ってホテルにチェックイン。予約する際に名前を間違っていたりして多少手間取ったものの鍵を受け取って部屋に。まずしたことは携帯の充電。使い始めて4年目になり、だいぶバッテリーの持ちが悪くなってきていた。備え付けのお茶を飲むためにお湯を沸かしつつ、テレビをつけて煙草の封を開ける。
 買った煙草はKENTのSシリーズという普通の煙草よりも細い、少し変わったもの。以前親が吸っていたのを見たことがあったのでなんとなくそれを選んだだけで特にこだわりがあったわけでもないし、そもそも煙草なんてそれまでほとんど吸ったことがない状態だった。一本取り出し、口にくわえて先端に100円のライターで火をつけて吸い込む。もちろんむせた。今回の旅行の間、煙草でも吸ってみるかと思いながら考えていたのはこの画像のことである。f:id:syousiki:20100222184500j:plain
 煙草を吸っているなんていいつつ、ただ火をつけているだけでは駄目だろうという意識がなんとなくあった。むせこんだりはするものの、深く煙を吸い込み、飲み込む。喉が痒いような感覚に耐えつつ大きく息を吐き出す。残った煙が口から伸びるのが、鏡に映っていた。これが煙草というものか…と思いつつ、もう一度吸ってみる。またも咳き込みそうになるが、そこまで悪くない、というのも同時に思った。吸わないと落ち着かない、という人の気持ちはイマイチわからないが、この感覚を味わうために吸う人というのはやはりいるのだろうなという気はした。
 テレビのチャンネルはNHKの地方局に合わせていた。普段馴染みのない店や土地の紹介をされても具体的にどの辺を指すのかが全く分からない。岩手県なら内陸沿岸という分け方はあまりに広すぎるのではないかとか気仙沼って宮城県岩手県のどっちだっけなんてことも思うのだが、知らない地域のニュースはどこそこといわれても距離感が全くつかめない。無論それが面白いところであるわけで、私はしばらくNHKをつけていた。バラエティは全国どこで見ても同じだろうが、ニュースや天気予報はバラバラなのだ。
 しばらくニュースを見ながら荷物を整理したり、有料チャンネルの内容をチェックしたり、沸いたお湯で唐辛子梅茶を飲んだりしている間に、時間はそろそろ夕飯になろうかという頃になっていた。安いビジネスホテルなので食事なんか出るはずがない。携帯もだいぶ充電できたところだったので、そろそろ出発することにした。鍵をフロントに預けて外に出る。外はまだ夏ということでさほど暗くはなっておらず、ちょっと薄暗い程度だった。
 どこで飲み食いをするかについては、二つの案があった。まずは全く知らないところに入ってみる作戦。とはいえ徒歩で歩ける範囲でどこにどんな店があるのかなんてのは把握していないわけで、散々歩いても無駄足だったという可能性もある。もっと早い時間に出発していればある程度の目星をつけておくこともできたが、後の祭りである。そこで採用したのはもう一つの案、2年前に入った居酒屋に入ることである。あの時は一人で酒を飲むなんてのも初めてであり、色々と計算通りにいかなかったところもあったのを、リベンジするというわけだ。
 入った居酒屋は駅から徒歩で10分程度のところにある、母娘三人でやってる店である。居酒屋というよりは小料理屋といったほうが正しいだろうか。前回の失敗は、最初から晩酌セットなんてものを頼んでしまったことだ。確かに楽ではあるが、自分の好きなものを以外が出てきて、それでいて結構な値段を取られるのだからちょっと損した気分になる。なので、今回はそういった類のものは頼まないと決めていた。そもそもそんなに酒に強くないのだから、控えめにしておこうという気持ちもあった。
 カウンターの席に座った私はとりあえず生中を注文。いつも思うのだが、生中というのは結構量が多いと思うし、大体ビールというとそれしかないのは何故なのだろう。生(小)は存在しないのか、存在したとして何故メニューには載っていないのか、と疑問は尽きない。煙草に火をつけるのとほぼ同時にお通しの枝豆と一緒にビールが運ばれてきた。枝豆はまだまだ旬だ。この時期になると家でも取れるし余所の家や親戚からも畑から抜いたものをそのまま貰ったりもするくらいだ。ビールを飲みつつ、壁に貼られているメニューやホワイトボードに目を向ける。普段からあるメニューのほかにも、その時々で仕入れたものがメニューとして並ぶようだ。私はまずつぶ刺しを注文した。
 
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つぶ刺し

 八戸は海に近いので、どうせ食べるなら肉よりも海鮮類のほうがいいだろうという意識があった。こりこりとした触感で非常においしい。続いてかれい刺を注文
 
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かれい刺

 かれいといえば普段は煮魚にして食べることが多いので、刺身というのは珍しい。その場で調べてみると、かれいの旬は今の時期らしい。味自体は淡泊だが歯に残る食感があり、噛むと味が出てくる。

 ここで日本酒陸奥八仙を注文

 
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八仙

 日本酒にかんする知識は全くといっていいほどないので、メニューに載っているものを適当に注文した。なんとなく青森っぽくて値段も手頃とかそんな理由だ。しっかりと日本酒の味と香りがするが、甘口で飲みやすいお酒だった。

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ほっけ焼き

 ここまで枝豆を除き冷たいものが続いていたのでほっけ焼きを注文。油と塩、という美味くないはずがない組み合わせに箸が進むし酒も進む。ほどほどにしておこうと思っていたはずなのにだいぶ酔ってしまっていたし、気がついたら煙草を五本ほど吸っていた。前回はここからさらに酒を頼んで更に酔っ払い満腹で結構な金額を払ってしまった反省から、ここいらでやめることにした。会計は全部で三千円しない程度だった。
 ここでほどほどにしておいたのはもう1つ理由がある。それは飲んだ後のラーメンである。二年前はそのまま同じ店でラーメンまで食べて帰ったが、今度はせっかくだから別な店で食べようと決めていた。こちらも、少し戻ってこれまた駅前のラーメン屋である。もちろんチェーン店なんかに入るつもりはない。佇まいがなんとなく古くさいが、外に漏れる電気が明るい店があったのでそこに入った。
 店内には誰もおらず、初老の店主らしき男性が一人厨房に立っていた。カウンターの席に座ると、おしぼりを渡されたので、手を顔を拭きつつ味噌ラーメンを注文する。腹を満たすわけではないのだから、大盛りの味噌チャーシューメン味玉付みたいなものを頼む必要はない。味噌ラーメン、それだけよかった。
 
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締めに味噌ラーメン食べる

 出てきた味噌ラーメンは期待していた通りの姿で現れた。モヤシにニラ、人参と豚ばら肉。いかにも味噌ラーメンといった感じの味噌ラーメンだ。麺をすすっていると、夫婦とその友人と思しき3人組が入ってきた。この三人は店主の知り合いのようで、どこかに旅行に行った時の話をしていた。三人組はビールとギョーザを注文し、私がラーメンを一通り平らげる頃になると焼きあがったギョーザが運ばれていった。うまそうなギョーザだったが、ラーメンを食べた時点で満腹であり、これ以上何かを食べる気にはなれなかった。ここでも煙草を一本吸ってから、代金を払って店を出た。
 ホテルに変える前にコンビニに寄った。この時点でだいぶ酔っていたことは自覚しており、このままでは翌日の活動に支障が出かねない。水と糖分を摂取しなければならない。酒を飲んだ後はブドウ糖。ラムネ菓子を探したが、アンパンマンラムネしかなかったので仕方なくそれを購入。さらに板チョコと、明日の移動の暇つぶしになるように天牌の単行本、さらにポカリスエットいろはすを購入した。
 再び携帯を充電しつつ、ホテルでだらだらと過ごす。ラムネを口に運びつつポカリスエットを飲む。テレビで明日の天気を確認。風呂に入りたかったが、酔っているために起き上がるのがおっくうだった。引き続きラムネを口に運びつつポカリスエットを飲み続ける。そんなことを続けているうちに眠くなってきてしまい、起きてからシャワーを浴びることにしてそのまま眠った。

 to be continued…